今だからこそ知っておきたい女性の心と体について、婦人科医の伊藤加奈子先生にお話を伺いました。
多いときは一人三役 増える現代女性の役割
今から30年前と比較すると、現代社会では女性が担う役割が増えています。
結婚して家庭に入り、家事と子育てに専念していた時代から、家事と子育てのほぼ一択ではなく、仕事と家庭の両立、仕事を選択するなど、
多様な生き方を自由に選択する時代へと大きく変化してきました。
以前よりも、女性が社会で活躍する機会が増えつつある一方、仕事とプライベートとの狭間で、結婚をするか否か、
出産をするか否か、またそのタイミングで悩む女性も少なくありません。
仕事のキャリアを築いていく中で、気づけば結婚や出産時期が遅くなり、妊娠適齢期のタイミングを逃してしまうことも。
また、日々の忙しさに自分の心身を省みず、休まず進み続ける女性たちが多いのではないでしょうか。
でも時には心と体を休めて、自分のために立ち止まる時間を大切にしてほしいと思います。
年代別に訪れるライフステージを知る
女性の体は30代後半になると卵子が減少し、妊娠が難しくなります。
仮に妊娠したとしても、高齢出産では出産時のリスクも上がるということを理解し、
妊娠出産を考えるなら、20~30代前半が適齢期であるという事実を受け止めておきましょう。
不調が出る前から定期的に婦人科検診を受け、自分の身体を知っておくことや日々のセルフケアも大切です。
そして40代に入ると、更年期の足音が近づいてきます。
日本人の平均閉経年齢は50歳。その前後5年間、トータル10年間が「更年期」。
生きていれば誰もが迎えるライフステージです。
この時期は仕事では役職がつき、プライベートでは介護や子育て(受験など)のピークが重なり、多忙を極めることも。
更年期に伴う不調は、代替療法や医療で和らぐことが多いため、不安にならず前向きに受け止めてほしいと思います。
心と体を整えるセルフケア
忙しい毎日でも、ほんの少しの時間だけでも良いので、自分のための時間をとりましょう。
この時間の積み重ねで、心身の健康を整えることができるでしょう。
和食中心の食事、ストレッチなどの適度な運動、十分な休養を心がけることで、徐々に心身が整います。
アロマやハーブティーなど、自分のお気に入りの香りやお茶で自分を満たしてあげるのも良いでしょう。
半身浴や、ツボ押しなどもおすすめです。
すべてを一度に変えなくてはと焦る必要はありません。
できることから少しずつ始めていきましょう。
男性にも知ってほしい 女性のこころとからだのこと
繰り返しになりますが、自分のためにご褒美となる時間を設けてあげてください。
毎日が無理であれば、一週間、一カ月単位でも負担になることなく、まとめてでも自分のための時間を取るようにしてみましょう。
自分に時間やお金を使うことにためらいを持つ方もいますが、自分が幸せになれば、周りの人も自然と幸せになるもの。
女性の心身の悩みは、女性だけが抱えるのではなく、
男性にも知ってもらい、大切なひとを大切にしてほしいと思っています。
Text by Tomoko Hirakawa
お話を伺ったのは......
【伊藤加奈子先生】
2007年NPO法人ウーマンリビングサポート設立。翌年、女性のための統合医療クリニック「ココカラウィメンズクリニック」を開院。
診療に東洋医学、アロマテラピー、鍼灸、カウンセリングなどを取り入れている。
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