女性の健康のカギを握る、デリケートゾーンケアについて、助産師、鍼灸師、看護師である、たつのゆりこ先生にお話を伺いました。
1.エストロゲンの減少と肌のうるおいの深い関係
私はこれまで、妊産婦から更年期の方まで、幅広い年齢層の女性の悩みに寄り添ってきました。
更年期を迎えると、デリケートゾーンに関する悩みを抱える方が増えてきます。
これは、40代半ばを境に更年期に差し掛かると、女性の健康維持をサポートしてくれる卵胞ホルモン「エストロゲン」が減少することで、皮膚(デリケートゾーンも含む)のうるおいが損なわれてしまうからです。
多くの方は、うるおいが損なわれて始めて、エストロゲンの重要性に気づきます。
(グラフを選択すると拡大します。)
最近では若い世代でも、ライフスタイルの変化で、うるおいが不足していることも。年代を問わず、デリケートゾーンが、かさかさ、コチコチなんてことにならないように、ケアをしてあげましょう。
2.デリケートゾーンのうるおいケア
デリケートゾーンも、顔と同じように、保湿をしてあげましょう。
私がおすすめしている方法は、セサミオイルやスイートアーモンドオイルなど植物油(食用ではなく化粧品)をデリケートゾーンに塗布し、保湿すること。
保湿することで、皮膚を健やかに、悩みのケアに役立ちます。
また、肌に触れることで、安心感や心地よさを感じ、脳の緊張を緩めるのにも役立ちます。
オイルなどによる保湿ケア以外にも、ホットハーブティーで体を温めたり、ゼラニウムなどのアロマで上手にリラックスタイムを過ごすのもおすすめです。
(画像は、ゼラニウム・ブルボン)
3.デリケートゾーンを洗う、保湿する
【洗う】
デリケートゾーンは、小陰唇より外側を洗い、保湿します。デリケートゾーン用のソープでやさしく洗い、ぬるま湯で流します。
洗い残しや、石けんが残っていると、ニオイやかゆみの原因になるから注意して。
膣内の洗浄は、雑菌の侵入を防ぐ善玉菌まで洗い流してしまうので避けて。
【保湿する】
肌を清潔にした後は、しっかり保湿を。デリケートゾーンケア用のミルクもあるので、適量を塗って使います。この時も、膣内の保湿は避けて。
【清潔に保つ】
汗をかきやすい夏場や、月経中など、日中さっぱりと過ごしたいときには、ミストローションなどを活用して。
4.ツボ押しと骨盤底筋体操
デリケートゾーンケアだけでなく、ツボ押しや骨盤底筋体操も取り入れてみましょう。
ツボ押しは、トリートメントオイルやジェルを利用し、痛気持ちいい程度の圧を加えて行います。
バランスを整えたり、肌のうるおいなどのケアにも役立ちます。
骨盤底筋体操を習慣化しておくと、デリケートゾーンのお悩み予防に役立ちます。
【ツボ押し 三陰交(さんいんこう)】
三陰交は、デリケートゾーンと深い関わりがあるツボです。
ツボの位置は、足の内くるぶしの骨から、指4本分上にあります。このツボが硬いと、動き過ぎや眠れていない場合も。
その他、百会(ひゃくえ)というツボも覚えておくと良いでしょう。
耳の上端と、顔の中心の交差点で、わずかなくぼみがあるところが百会です。このツボは、心を緩めたり、うるおいケアに役立ちます。
【骨盤底筋体操】
①両足のかかとをつけ、つま先を外側に開いて立つ。息をゆっくり吐きながら両膝を離すようにして曲げていく。このとき同時に肛門に力を入れ、お腹の中に引きこむイメージで肛門を引き上げる。
②息を吸いながら両膝を閉じていき、同時に肛門も緩める。①と②の動きを10回以上繰り返す。
5.最後に
もともと、産前産後のサポートを中心に、デリケートゾーンケアを紹介してきましたが、母の介護を経験し、介護する側と介護される側両者にとって役立つと感じました。
年齢を重ねても、女性が健やかな毎日を過ごせるように、恥じらうことなく正しい知識を持って、自分の心と体に向き合い、大切にしてほしいと思います。
Text by Tomoko Hirakawa
お話を伺ったのは...
【たつのゆりこ先生】
助産師、鍼灸師、看護師。大学病院(参加新生児室、産科/ICU・CCU)から助産院、自宅出産介助まで幅広い業務経験を持ち、東洋医学アーユルヴェーダの知識を活かし活躍。
Be-born助産院・産後養生院院長として、産前産後から更年期など幅広い年齢層の女性の健康ケアを行っている。
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