南仏の山の谷間太陽のようにまぶしいたくさんのおひさまが広がるようなカレンデュラ畑で花の収穫をしてきました。
我が家では、娘が幼い頃からオムツかぶれや主婦湿疹、ちょっとしたすり傷や火傷、カサカサ肌のときなど家族みんなでカレンデュラクリームと石けんを使っています。カレンデュラの花びらを植物油に浸けて作られた浸出油は、12世紀の中世ヨーロッパでも薬用軟膏として用いられていたようです。
植物油に、収穫した花を浸出。フレッシュのカレンデュラの花は、水分がとても多いため浸出中にカビが出やすいので、浸出油を作るときは、ドライハーブを使うのがおすすめです。
Calendula
[カレンデュラ]Calendula officinalis
キク科
別名キンセンカやポットマリーゴールド。
カレンデュラは薬用として花部分を用いますが、花つきが良く、その名は「短い暦」「小さな時計」を意味するラテン語の「calendae」※カレンダーを由来とされています。カレンデュラの花には、カロチノイド、フラボノイド、サポニン、多糖類が含まれています。
太陽を浴びて花弁を広げたカレンデュラを摘み取る
私が訪れたカレンデュラ畑では、約2ヶ月間も毎朝収穫を行うとのことでした。夏の新月の時期に開花し、日没に合わせて花弁を閉じる特性があるカレンデュラは、この時期の畑や薬草園を彩る植物です。
カレンデュラの収穫は、太陽の光を浴び、花弁が大きく広がっている午前中に家族総出で行います。収穫方法は、花を支えている茎部分を、人差し指と中指の間に挟み、ポキポキと音を立てながら収穫します。数十分もすると、あたり一面に彩っていた花々が消え去り、景色がいっぺんに変わります。
カレンデュラオイルの抽出工程
カレンデュラオイルは、植物油に花を浸ける浸出法(マセレーション)で採られます。フレッシュなカレンデュラの花を凍らせたものを、機械でざっくりとカット。大きな容器に、大量の植物油とドライカレンデュラを入れ、棒で馴染ませます。ここに細かくカットしたフレッシュカレンデュラを入れ、オイルに浸るようによくかき混ぜます。数週間抽出し、(この間も数回かき混ぜます。)専用の機械で濾過し、カレンデュラオイルを抽出します。
生活の木のオイルは、フレッシュなカレンデュラを使って浸出するため、鮮やかな色が特長となっています。
そのカレンデュラオイルと蜜蝋を、湯煎で温めて作る軟膏。(5:1※季節によって調整)カレンデュラクリームは、我が家に欠かせないお守りのような存在です。
母なるワイルドハーブ ラズベリーリーフ
次に私は南仏の山に、力強く自生する野生のマタニティーハーブ「ラズベリーリーフ」を採集しにいきました。
ラズベリーリーフは、妊娠後期から産後、月経痛の方にも大変人気があるハーブティーとして多くの女性に親しまれています。私が収穫したラズベリー(Rubusidaeus)リーフは、標高1,150mの山に自生した、野生のラズベリーリーフ。標高によって採集時期は異なるようですが、私が訪れた7月は、ちょうど葉が大きくなりはじめたところ。この後8月から9月までの間が採集のベストシーズンです。
Navigatorヴィンセントさん(左)は、ラズベリーリーフを始め、野生ハーブについても色々教えてくださいました。
山に入ると、ふかふかした肥沃な土。この山は、フランスでも5本指にとまるほどの植物多様性の山だそう。
ラズベリーの木なので、果実のある木を探しましたが、ラズベリーリーフは、1年目の若木から採られる為、果実も棘もありません。素手で、枝の根元から枝先に向けて、手を滑らすように動かし、一気に葉を採ります。
山の中は一見緑の葉ばかり、その中で葉を裏返すと白い葉、それがラズベリーリーフです。出産までつわりがひどかった私は、色々な目的を兼ねてラズベリーリーフとスペアミントのブレンドティーを飲みました。
南仏プロヴァンスの野生ハーブ
野生ハーブは、人の手を加えられず、植物のみの力で生命を営んでいます。エネルギーや魂のような力強さがあり、私の心に強く印象づけられました。家族の健康を守る、私自身もそうあるべきですが、何よりわが子にも、どんな環境でも、強く、たくましく生きる力を、もっていてほしいと感じました。