日本人にはなじみ深いヒノキは、建築材やさまざまな木製品に生まれ変わっています。
生活の木で取り扱いのある「Hinokiアロマボール」もそのひとつ。
製造している社会福祉法人 幸仁会 川本園では、施設利用者の方が職員の方とともに、埼玉県産のヒノキを丸太状からHinokiアロマボールなどの木製品になるまでの木工作業をしています。
今回、川本園のみなさまに取材させていただき、実際に製造の様子や施設についてお話を伺いました。
<Hinokiアロマボールの製造過程>
①埼玉県産ヒノキの丸太を製材し、カットして角材にする
②角材の角を削る
縦に回転する円盤状の機械にサイコロ状の角材を入れて鋭利な角を削り、およそ20日間という時間をかけて丸みがかった形状にしていきます。
この作業では削るスピードを速くすると、割れの原因になってしまうため、時間をかけて徐々に削ることが重要だそうです。
③さらに丸くする
次はベルト状の機械に移し、やすりがけのような要領でさらに丸くしていきます。
ここまでの工程でおよそ1か月。
角材から凹凸のない丸状に仕上がります。
④施設利用者の手でさらに磨き上げる
これまでの機械の作業で丸くなったヒノキですが、面白いのが完全な丸状ではなく、ひとつとして同じものがない、個性ある形をしています。
また、触ってみるとザラザラしており、マットな状態です。
ここから利用者の方の手が加わり、非常に滑らかでキレイに磨き上げられます。
⑥完成
磨かれる前と後では質感が全く異なります。
やはり磨かれたものですと、木の温もりと木製品に携わった"人"の温もりを感じられます。
また、ひとつとして同じ形がないという特徴も相まって、同じ商品の中でもそれぞれに個性があるという点に魅力を感じられます。
<施設やHinokiアロマボールについて取材で伺ったお話>
○施設について
私たちの施設のサービス内容は、就労継続支援B型にて利用者の方に木工作業をしていただくことです。
現在37名の施設利用の知的障がいの方が、埼玉県産のヒノキを中心に木工作業をしています。
(神塚 清さん)
○生活の木との出会いについて
林福連携事業の取り組みの中で、製品を作るだけでなく施設と企業とのタイアップもできればと思っており、アドバイザーの佐藤さん(佐藤岳利事務所・代表)の提案で、生活の木の重永社長をご紹介いただきました。
その際に、木のボールを持っていったところ、アロマでも転用できないかという反応がありました。
既にあった、「もくたま」という子どもたちの遊具の製品を、それからアロマ用に加工し始めました。
手磨きを念入りにする作業が加わったことにより、施設利用者のみなさまが作業しやすく、作業の幅が広がりました。
(野辺 香織さん)
○今回の取り組みに対する思いについて
今までは販売しないイベントなどの記念品として、製造することがほとんどだったので、自分たちが作ったものが店頭に並ぶことが嬉しいです。
このHinokiアロマボールをきっかけに、商品、製造の幅が広がっていけたらいいなと思います。
私たち以外の方が、アロマボールを手に取って、川本園が作っていることがわかっていただけるようになれば。
(野辺 香織さん)
企業のお手伝いが出来たら嬉しいです。この施設では、知的障がいのある方たちが、日々丁寧に作業をしています。そのことを多くの方や企業にも知っていただき、彼らの社会参画の機会が広がれば良いなと思っています。
(田中 初男さん)
企業と施設がお互いに同じ立場でいることが重要で、施設の利用者さんに無理をさせないよう理解いただける企業さんがこういう取り組みでは必要だと思います。
(多田 知子さん)
Hinokiアロマボールは、精油を垂らすだけでほのかに香りが広がります。
インテリアとしても可愛い見た目なので、お部屋のさまざまなスペースにおすすめです。
川本園のみなさまが心を込めて作っていただいた「Hinokiアロマボール」を、ショップにお立ち寄りの際にぜひ手に取ってみていただければ幸いです。
Text by O.T.A.