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アロマブレンドラボラトリー エッセンシャルオイル

ラベンダー

2018.03.19 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
ラベンダー

アロマテラピーの原点と言ってもいいハーブ、ラベンダー(Lavandula officinalis/angustifolia )が、
心地よい"リラックス"や"眠り"と切っても切れない理由があります。

睡眠に繋がるメカニズムは、脳内活動の働きを見ると紐解けます。
睡眠に不可欠な神経伝達物質であるセロトニンという成分、これは生体リズム・睡眠・体温調節をする生理活性アミンです。
セロトニンは、興奮性の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンを抑制する作用があり、不安やイライラを取り除き、
脳をリラックスした状態にさせてくれます。
そのセロトニンは、脳内でメラトニン(睡眠をもたらすホルモン)に変化し、メラトニンが分泌されると副交感神経が活発に働き出し、
脈拍、体温、血圧を下げ、睡眠の準備ができたことを脳に知らせることで、眠気を感じ睡眠に繋がるという流れです。

そこで着目されるのが、世界中で研究されている香気成分「酢酸リナリル(Linalyl acetate)」です。
酢酸リナリルはこれらの睡眠にとって大切な役目を果たしているセロトニンを、誘発する効果があるとされています。
セロトニンは加齢や心身の疲れ、ストレスなどでもその数が減ってしまうそう...
眠るということに悩んでいる方の多くが、このセロトニン不足に陥っていると言われています。
それを手助けしてくれる香りが、酢酸リナリルというわけです。

その酢酸リナリルが多く含まれ、その他の香気成分との絶妙なバランスでプロポーションを形成している
植物精油(エッセンシャルオイル)がラベンダーです。
防腐性や抗菌、害虫忌避、火傷など。様々なお悩みに対応した精油として、
今もなお化粧品業界、アロマ業界で多用されています。
もちろんお薬ではないので、「~に効く」や「~に作用する」など直接的な言葉では語れませんが。
世界中の医学の歴史を見ても、その作用には一目置かれている100%天然の植物素材です。

ラベンダーは香水原料としても昔から使われてきました。
フゼア調の香調には必要不可欠な素材ですし、男性用化粧品にも多用されます。
フローラルの中でも、花の持つどこか女性らしい可憐さがあるその他の花素材とは違い、
ハーバルで野性的、カントリー調で、決してお高く止らない、老若男女に好かれやすい香りだと言えます。
ラベンダーは産地も様々、フランス産は香りが少しだけドライで芳醇、まさにポプリライクな印象。
ブルガリア産はリンゴ様でローマンカモマイルのような、みずみずしさも感じます。
タスマニア産は葉緑素を感じ、少しワイルドで、懐かしい野草の気配を持っています。 
 
 


重要な役割を担い、語り継がれてきたラベンダーという素材の香りはどんなものですか?
と聞かれた場合、個人的にはこう思っています。

「大泣きした時」の香り。

泣くという行動は、精神面でのデトックスに非常に良いそうですが、
ラベンダーにはそんな、溢れ出す感情の波のような、香りが飽和した印象があります。
また何かを跳ね除けるような香りの質ではなく、何物にもすぐに浸透してしまいそうな瑞々しさ。
傷口に沁み、癒してくれるような、いくら否定してもやっぱり嫌いになれない。
「泣く」という、感情の波をまさに体現しているような香りです。

元気でやる気満々な時は、この酢酸リナリルを主軸とする香調は少し、しみったれた印象に感じる
のは私だけではないと思います。それはむしろ元気な証拠で、ラベンダーの香りが心地よいと感じるときは、
疲れた証拠かもしれません。

赤ちゃんは寝くなると、グズって泣きます。
お母さんは「眠いんだね~」と言ってあやします。
大人にもそれはきっと必要な生理現象で、
ラベンダーは代わりに泣いてくれてるように、いろんなものを洗い流してくれる。
そんな香りだから安心して、リラックスして、睡眠に繋がるような気がしています。

 
 
 
●ラベンダーのおすすめブレンド
せっかくだから酢酸リナリルをたくさん含有している精油でミックスしてみましょう
その①
 ベルガモット:6滴
 ラベンダー:2滴
 クラリーセージ:2滴

その②
 オレンジスイート:5滴
 プチグレイン:3滴
 ラベンダー:2滴

ブレンド精油でもいいです。手作りスプレーにして寝具にふっても気持ちいいと思います。
※寝具にふりかける際は、精油による色染みにご注意ください。まくらにタオルを一枚敷いて、そこにかけるのがおすすめです。

ラベンダー・フランス産のエッセンシャルオイルはこちら

ラベンダー・ブルガリア産のエッセンシャルオイルはこちら

ラベンダーの植物プロフィールと育て方はこちら

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