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メリッサ(レモンバーム)

2018.03.06 TEXT by Keiichiro Tsuda (Perfumer)
メリッサ(レモンバーム)

メリッサ(Melissa officinalis)を語る上で切っても切れないものが、「蜂蜜」と「レモン」。
私が幼い頃、子どもはみんな飲んでいた、誰もが知っているジュースやキャンディーの味「はちみつレモン」は
今思い出すだけでもパッケージのイラストがすぐに思い浮かぶものです。
甘さと酸っぱさが混在していている故、味が濃く、想像しただけでも唾液が滲みます。

 
ハーブ(植物)の状態では、メリッサというよりレモンバームと呼ぶことの方が一般的かもしれません。
学名にもある「Melissa」はギリシャ語のミツバチに由来します。ギリシア神話には、全知全能の存在で神々の王であるゼウスが
子どもの時に、メリッセウスという蜜蜂男の娘「メリッサ」に蜂蜜を与えられ育った。というストーリーがあるほど。
レモンバームに宿る小妖精の名前がメリッサ、ということからその異名がつけられたともいわれます。
欧米人女性の名前にはメリッサという人がいるほど。つくづく可愛い名前です。

メリッサのハーブは養蜂の世界でも重要な役割を果たしてきました。
そのレモン様の爽やかさと、瑞々しく甘い香りに女王蜂は引き寄せられ、連動してミツバチたちが
遠くに離れてしまわないように、群れ全体を誘因するために使われていたそう。
ビーバーム(Bee balm)とも呼ばれるもう一つの通称にも納得です。


フレッシュでレモン様の香りがするハーブの精油はたくさんあります。
レモンバーベナやレモングラス、レモンマートルからリツエアクベバ、もう少し広げると、
レモンティートゥリーやレモンユーカリ、シトロネラにプチグレインレモンなど...。
その中でもメリッサは、くっきりとしたレモン香だけでなく、同時にしっかりとした甘みも感じます。
またこれらレモン調ハーブの特徴に、時間が経つと更にツンと鼻を突くような香りになりがちなものの、
メリッサはいつまでもみずみずしさを残し、まるで高級なレモンティーのようです。

和名はコウスイハッカ(香水薄荷)やセイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)と呼ばれ、香りを体現した命名になっています。
ロズマリン酸というシソ科に含まれるポリフェノールを多く含有しているため、免疫強化、花粉症やアレルギー対策には
ぴったりだと言われています。
メリッサ精油に高級なものが多い理由は、極端に採油率が低い為。
メリッサを思う存分に味わいたいなら、まずはハーブの活用をおすすめします。

①ティーポット(500ml前後)によく洗ったレモン1/2分のレモン果汁を搾り入れ、ほんの少しだけレモンの皮も削いで入れます。
②メリッサ(レモンバーム)のハーブを手のひらの上に乗るくらいの量で、1~2回パンっと叩いてポットに入れます。
③暖かいお湯を注いで、通常のお茶の同様に数分待ちます。
④最後に大さじ1杯強くらいの蜂蜜を入れ、味を調えたら出来上がり。蜂蜜はマヌカハニーもいいでしょう。

 

メリッサの妖精も宿る、はちみつレモン。試してみてください。


●メリッサの注意点
メリッサ精油は肌に対しての刺激性があります。
手作り化粧品、肌につけるようなトリートメントオイルなどへの添加は、ご使用量にご注意いただくか、
ご使用をお控えください。


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