パチュリの香りと聞いて、パッとイメージできる方はそこまで多くないかと思います。
アロマテラピーでは"リラックス"や"リフレッシュ"を目的とする素材が、代表的に好まれる香りだったりするのですが、
パチュリ(Pogostemon cablin)はアロマテラピーの中でも紹介されるものの、いまいち使用シーンに困ってしまうような、
少しマニアック向けな香りとして受け捉えられがちです。
ラベンダーやローズマリー同様のシソ科の葉から抽出されているとは思い難い、独特の香り。
マニアックと言われるのも無理もなく、一番は「墨汁」を想起する香りと言われています。
他に表現するとすれば、「縁側の下の土の匂い」「古い日本家屋の梅雨時の押入れの中の匂い」、
もう少し良く言って「寺に生えた苔が雨に濡れたときに蒸す香り」といったとことでしょうか。
結局のところややカビ臭いわけです。
でも辛気臭いだけではなく、エキゾチックな雰囲気も併せ持ち、オリエンタルなパワーを持ちます。
瞑想時などのインセンスとしての活用を促しますが、正直瞑想を行う事は、私たちの生活の中で
そこまで一般的とは言えません。(もちろんヨガや瞑想時にパチュリはおすすめです!)
一方フレグランスの世界ではパチュリはマスト素材。
雰囲気を出したければパチュリ! 色気を醸したければパチュリ! ドラマティックにしたければパチュリ!
と言っても過言ではありません。
この記事を読んでくださっている方に、ぜひ手元にエッセンシャルオイルがあったら、下記の手順で香りのハーモニー、
ブレンドすることで織り成される香調の変化を実感していただきたと思います。
●ラベンダー + パチュリ
まずはラベンダーだけを嗅いでみましょう(できればムエットで)。
非常に嗅ぎ慣れたフローラルハーバルの香り。洋風でソーピー(せっけん様)。
瑞々しさとパウダリックの混在がラベンダーの醍醐味です。
そこにパチュリーを少し加えて嗅いでみます。
厚みが出て、華奢な植物から生々しい生き物の香りになります。
"バーガンディー色の上質なベルベットを触る"ような香質に変わり、
香りの保留材的な用途もあるパチュリは、ポプリライクなクラシカルさを付与します。
●イランイラン + パチュリ
イランイランは香りの中でも唯一無二な、眩い香り。
少しKYともとれるほどの華やかさを放ち、ファッティ―。
テンションの高さは他の素材より群を抜いています。
そこにパチュリを加えると、そのイランイランのファッティ―さをカットしてくれ、
キュートな甘さが浮彫りになります。表層的な華やかさの演出ではなく、格調高く
深みも伴う豪華さと色気を感じられるようになります。
●ジンジャー + パチュリ
アーシーとアーシーの共演です。
食品のイメージが強い香りのジンジャーは、単体ではフレグランスになり得ない物。
パチュリのインセンス要素がジンジャーの爽やかさに加わると、虎やライオンのような強く優しく
気高い黄金色に豹変します。同時に聡明で静かな空気が流れ、これこそヨガや瞑想時におすすめの香りです。
パチュリのような、雰囲気や深みを出す香りというものはなかなか存在いないもの、故に重宝されるわけです。
分かりやすく馴染みのある香りもいいですが、これからの季節、コートの下に隠されている人間性を表現するように、
時には複雑な生き物であることを楽しむような香りもいいかもしれません。
●パチュリ活用法
化粧品原料としても有用と言われるパチュリ精油。
お肌がカサカサ・ゴワゴワしやすい箇所に、パチュリ入りのバームや植物油を塗ると、
お肌が健やかに保てると言われます。
冬場の手作り油性化粧品にもぜひおすすめです。
パチュリのエッセンシャルオイルはこちら