古くから薬用酒の原料として、今は世界的に飲まれるリキュールのジンの香りづけに使われている
ジュニパーベリー(Juniperus communis)。
眠気を覚ますようなキレ味と、森の中を思わせる静けさ、敏い賢者が好むような大人のほろ苦さが特徴の、
ヒノキ科の実。
決して人懐っこい香りでもなく、癒されるというには柔和さに欠ける香りですが、
気分が疲れた時などは、そういった纏わりつくような馴々れしい香気より、気分を一掃してくれる香りを求めるものです。
良い物も悪いものも、滞留してしまった状態を解放してくれる香り。
身体を健やかに、美しく保つものとしてお肌の表層を整えるだけではなく、もう少し深いところにまでのアプローチを
手助けをしてくれ、トリートメントオイルやハーブティーとしても昔からハーバリストに重宝されてきました。
私も、愛着の沸きづらいものの、ピンと張ったジュニパーの香りを、意識的にトリートメントオイルに使用したり、
またハーブティーとして飲むことで、内に溜めていたものが少し軽く、晴れやかになる気がしてよく使用します。
フレグランスに使用されるときには、こういった薬草的観点ではなく、都会的で洗練されたシャープさを香調に宿したいときに使用します。
背筋を伸ばし、律している姿にセクシーさを感じさせる香水に多用される点では、サイプレス同様
メンズフレグランスに使用されることが少なくありません。
渋谷のスクランブル交差点。
青信号に代わる瞬間に、人が上手く人を交わしながら、一気に横断歩道に流れ出す様子が面白いのか、
写真撮影をしたり、ストリーミングしている外国人ツーリストの数が増えているように思います。
混沌とした東京の象徴的な風景として捉えられ、観光地化している場所のひとつ。
そこにはいろんな人が混じり、多国籍で、老若男女さまざま、個人、団体、遊びに来ている人、働いている人、
良い人もおそらく悪い人も、きっと楽しい人も悲しい人も。
そんな人たちが一気に流れだし、また時間が来れば一時停止し、そしてまた流れ出す。
いつも見る風景と同じように、時が来れば動き出し、ごく自然に溜まってしまい、どこかから背中を押される
ようにまた前に進んで流れていく、その自然な動きが心身の中でも起こりうるんだと思います。
そんな流れを促してくれる、ジュニパーベリーの香りです。
●おすすめブレンド
レモンやグレープフルーツなどの黄色い柑橘精油との相性が良いです。
また同じ清涼感でもミントなどのメントール的な冷たい香気とも違うため、これからの秋冬の季節、お部屋の空気の入替時などに
少しアロマを焚くと、深呼吸したくなる部屋に切り替えられます。
シダーウッドやコパイバなどのウッド素材と合わせることで、森の中にいるような安心感も漂います。
●ジュニパーの注意点
トリートメントに使用する場合、血流やリンパの流れを促すと言われているため、妊娠中の方や血圧に心配がある方は
使用をお控え頂くか、お医者さんにご相談の上ご使用ください。
ジュニパー精油の購入はこちら