カントリー調を象徴するような咲き姿のカモマイル・ローマン(Anthemis nobilis)の精油は、リンゴやシードル(リンゴ酒)
を想起する甘く瑞々しい香りが特徴とされ、カモマイル・ジャーマン(Matricaria chamomilla)は干草のような田舎くさい香りと共に、
夜空を切り取ったような、ミッドナイトブルーの液色が印象的です。
カモマイルの精油は、採油率が低いことからも非常に高価です。どちらかといえば花を乾燥させた、飲料用のハーブティー
素材の方が親しまれていると思います。
香水の歴史の中でもカモマイルはあまり目立って使用されてきませんでした。
ハーバリストには重宝される素材だった半面、香水素材の香調分類では「Aromatic」や「Herbal」に分類され、
ミント類同様、フレグランスの舞台では脇役的存在だったかもしれません。
しかし昨今、このカモマイルをはじめとする「Aromatic」や「Herbal」な香粧品のオーダーが多数寄せられます。
香水やフレグランス化粧品的ではない、ナチュラルで癒し要素が宿る商品が、少し前からずっとトレンドです。
わたしは、カモマイルの華奢な咲き姿と癒しの香りに、今は亡き祖母の存在に近いものを覚えます。
ふるさとを象徴する「おばあちゃん」。達観したマイペースさと、熟年の勘をもって息づいている小さな姿には
ブレない安定感がありました。いつも幼子のような純心な返答をくれ、そして孫の私に底抜けに寛容で。
子供のころ、夕刻に寝落ちてしまい、外が暗くなったころに目が覚めてると、なんだかさみしく、
説明しようのないメランコリックな心情に襲われたことが、記憶の中にあります。
そんなとき祖母は、母とは違う優しさをもって慰めてくれました。
大人になった今でも、いろいろ考え事をしたり、時々妙に寝つきが悪かったりする夜があります。
そんなときカモマイルの香りは、グズる気持ちを少しFIXしてくれる気がするんです。
カモマイルは、アロマの中でも、唯一無二な"優しい"香りです。
●おすすめブレンド
カモマイル・ローマン:柑橘精油に少しのローマンを加えると、果実感が倍増され、トップを長びかせてくれます。
カモマイル・ジャーマン:ミルキーな香りをアロマ素材で求められる時、バニラと共にジャーマンを少しだけ加えます。
合体することで乳白なホッとする香りに変化します。
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