秋の陽気に包まれたニュージーランド大使館で、今注目のマヌカハニーのセミナーが開催されました。その様子をレポートします。

ニュージーランド大使館でマヌカハニーづくしの1日

セミナーは3部構成。ニュージーランドから来日したマヌカハニーの生産者が語るマヌカハニーの品質や魅力、兵庫県立大学加藤陽二教授によるマヌカハニーの抗菌性についてのアカデミックな話、生活の木の佐々木薫はニュージーランドの生物のハーモナイゼイションについて、お話をさせていただきました。
しかも大使館シェフがつくったマヌカハニーランチ。さらには、ハニーグロス作りと、お土産に貴重なマヌカハニーをお持ち帰りいただき、マヌカハニーを存分に楽しむ大変贅沢な1日となりました。

「マヌカハニー」
それはマヌカという名前で、ニュージーランドにのみ自生している低木です。
紀元前1700年頃にニュージーランドに住み着いた先住民族マオリたちは、マヌカの葉を様々な用途で利用していました。
ハチミツが生産されるようになったのはもっと後のことで、その歴史はまだ浅く数百年程度と言われています。
そんなマヌカから採れるハチミツ「マヌカハニー」は現在、その希少性の高さゆえに世界中から注目を集めています。
ニュージーランドではたくさんの種類のハチミツが生産されていますが、中でも「マヌカハニー」は高級品になります。
また、ハチミツの採取期間が短く、ごくわずかしか採れません。
ほろ苦さのような独特の風味があり、ざらざらした舌触りで透明感はなく濃厚なクリーム状のハチミツです。
最初は癖が強いと感じるかも知れませんが、慣れてくると他のハチミツでは代用できない魅力となっております。
ニュージーランドのほとんどの家庭には「マヌカハニー」があって、毎日少しずつ摂ったり、必要な時に舐めたりなど日常的に使われています。
また、食品以外にも絆創膏、歯磨き粉やシャンプー、石けんなど、ニュージーランドでは様々な製品に「マヌカハニー」が使われています。

マヌカハニー生産者が伝えるマヌカハニーの神秘
「マヌカは、ニュージーランドの先住民のマオリ族によって古来、重宝されてきました。『復活の木』『癒しの木』とも呼ばれ、外傷や胃の薬としても使われています。
このマヌカの木が花をつけるのはたった4か月だけ。開花シーズンの10~2月にニュージーランドのハチミツ生産者たちは収穫に臨みます。本当に貴重なものです。
私たち生産者はハチミツごとに管理を徹底し、産地など生産の履歴を追えるようなしくみをつくっています。そしてニュージーランドから、日本を含めた世界各国に、確実なマヌカハニーをお届けしているのです。」

マヌカハニー生産者
ロブ・マコナキー氏
消費者に本物のマヌカハニーを届けるために
「UMFはユニーク・マヌカ・ファクターの略で、マヌカハニー特有の成分です。
UMFハニー協会は、UMFの認証と品質保証をする団体です。今ではニュージーランドの輸出業者の75%がUMFハニー協会の認証マークを使っています。
マヌカハニーは世界中で研究が進んでいて、日本では兵庫県立大学の加藤教授が、新たな成分基準「レプトスペリン」を発見してくださいました。加藤先生をはじめ、英国やドイツ、中国、オーストラリアの研究者をニュージーランドに招き、評価基準について今でも活発に議論しています」

ジョン・ロークリフ氏
大使館付きシェフがつくるマヌカハニーランチ
立食形式のランチは、大使館付きのシェフによる、マヌカハニーを贅沢に使ったランチ。前菜、メイン、デザートに至るまでマヌカハニーを使った品々が出そろいました。






マヌカハニーの秘密を解く
「もともとハチミツには抗菌活性があります。しかし、ニュージーランドに植生するマヌカを蜜源とするハチミツは極めて高い抗菌活性成分が含まれています。この主体となっているのが、メチルグリオキサールという成分です。マヌカハニーには抗菌のみならず、抗炎症などの機能性も報告されています。その機能性の高さゆえ、最近はマヌカハニーの偽表示などが問題となっています。先ほどのUMFハニー協会・ジョンさんのお話にあったようなケミカルマーカーが重要視されるのはそのためです。私の研究チームも、新たな認証マーカーとなる「レプトスペリン」という成分を発見しました。これから、簡易なレプトスペリン検出法などを開発し、使いやすい認証マーカーにしていきたいと思っています」

環境人間学部教授
加藤陽二氏
生物のHarmonizationをめざして マヌカハニーの旅
「生活の木では、生物のハーモナイゼーションということを考えています。これは生物が共生していく、みんなで生きていくという考え方。ニュージーランドはそれを実践している国だと、訪れて心から感じました。
羊の国のイメージは、ほんの一面。
ニュージーランドで盛んな養蜂は、生物のハーモナイゼーションの典型だと思います。ミツバチとマヌカの花から、その恵みを私たちはいただいています。また、マヌカはあのキャプテン・クックの時代から重用されていて、常緑針葉樹(リム)、マヌカ、糖蜜でつくられたスプルースビールというビールもありました。当時のレシピで今でもつくられています。
かわいい花をつけてくれて、植物としても魅力的なマヌカ。私たちもその恵みを大切にいただきたいですね。みなさんのマヌカライフが、これからもいいものでありますように!」

カルチャー事業本部
ゼネラルマネージャー
佐々木薫
